寒い日が続いている。我が家の物置に放置されたまま、二十年以上使ったことのない火鉢を引っ張り出し、最近、炭を入れた。８帖の間には、エアコンとホットカーペットで暖を取るようにしているが、なぜか思い出したように火鉢が恋しくなったのだ。あいにくバーベキュー用の品質の悪い炭しかなかったので、炭の火を熾すのに時間がかかった。「備長炭」とまでは行かないまでも、「マングローブ」の炭は、かかる火鉢には不向きの様子。炭火の独特の匂いは嫌いではない。時々火箸で炭を直し、また、口をすぼめ、灰が飛ばないように絶妙な按配で空気を吹きかける。チロチロと炭が燃える。鉄瓶からは蒸気が揺らめき郷愁を誘う。
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